既に絶滅した古生物を科学的な知見を基に生き生きと描く博物画の分野
古生物のイラストレーションは、実在しないイメージの世界を描く分野、最新の科学的根拠に基づいた博物画です。イラストレーションの分野には大きく分けてふた通りあります。ひとつは、自分のイメージで描いていくもの。もうひとつは使用目的があり、それを忠実に再現していくもの。古生物の復元画は後者にあたるので、とにかく研究者の知見を基に監修を受け徹底的に手直し描いた後でも躊躇うことなく修正を加えていくのです。
研究キーワード:イラストレーション、絶滅生物、復元画
担当教員
伊藤 丙雄
役職:教授
教員の主な活動
- 2002年?
- 小学館の図鑑NEO[新版]『恐竜』/復元画担当(現在に至る)
- 2003年~
- 小学館の図鑑NEO『大むかしの生物』/復元画担当(現在に至る)
- 2011年
- 『新版 絶滅哺乳類図鑑』(丸善出版社)/全復元画担当
- 2017年
- 『毎日小学生新聞』特集記事(哺乳類?恐竜)挿絵/毎日小学生新聞
- 2021年? 22年
- 国立科学博物館「化石ハンター展」(日本経済新聞社)/絶滅哺乳類復元画担当
略歴
東京藝術大学美術学部大学院形成デザイン専攻修了、文化女子大学短期大学部生活造形学科准教授
【取材記事】大学の学びはこんなに面白い!(2019年6月27日)
これからますます多様化する情報社会を見据えて、デザイン学部が新体制に変わります!
伊藤 丙雄
デザイン学部 伊藤 丙雄教授
2020年度からデザイン学部は2専攻(4コース制)に変わります。その狙いや詳細について、伊藤丙雄デザイン学部長に伺いました。伊藤先生は、専門分野であるグラフィックデザインの他、恐竜など古生物の復元画を手がけたり、学内の教育研究プログラムとして大田区の観光デザインプロジェクトを率いたりと、幅広くご活躍されている先生です。
前回の掲載はこちら→ /gakubu/2017.html?id=236
■2020年度からデザイン学部の学修体制が変わるそうですが、どのように変わるのですか?
入学時から【視覚デザイン専攻】(視覚伝達デザインコース/視覚情報デザインコース)と【工業デザイン専攻】(空間演出デザインコース/工業ものづくりデザインコース)の2専攻(4コース制)になります。今までデザイン学部は1つの入口だったところを、2020年度からは2専攻のどちらかを入学する前に決めていただき、専攻別に受験をしてもらうことになります。
ただし入学後から2年次の前期まで、これまでのデザイン学部が培った造形?デザイン基礎となる「感性」と「スキル」を専攻共通の演習として学ぶという特徴は変わりません。
2年次後半からは各専攻のコース設定課題を交互に学修して、学年末までに1つのコースに決めていただき、3年次からはそれぞれのコースでより専門性を深めていくという流れとなります。
【視覚デザイン専攻】とは、いわゆる平面系のデザイン表現が主体となります。出来事や人々の想いを視覚的に伝える(視覚伝達デザインコース)と、拡張する社会のために情報活動を対象としたデザイン提案をする(視覚情報デザインコース)があります。
(視覚伝達デザインコース)は、雑誌や新聞、web、デジタルサイネージなどのメディアを対象に、理念や構想を視覚的に判りやすく表現する手法で、コミュニケーションを生み出すデザインを学びます。
一方、(視覚情報デザインコース)は大量の情報を整理して伝えるために、デザインによる課題解決の手法を学びます。例えばUI<ユーザインタフェース>やUX<ユーザエクスペリエンス>のデザイナーという仕事がそれに当たります。
【工業デザイン専攻】は、立体、空間系のデザインを幅広く学びます。ビジネスの世界でも注目されている“デザイン思考”を基盤とした持続可能な社会への提案を、(空間演出デザインコース)と(工業ものづくりデザインコース)で学ぶことができます。
(空間演出デザインコース)は、公共空間や住空間から地域環境までをデザインの対象としています。3Dソフトによるシミュレーションや、VR<仮想現実>、AR<拡張現実>、プロジェクションマッピングなどの先端技術を用いた総合的な空間演出を提案します。
(工業ものづくりデザインコース)は、暮らしの中で使われる工業製品<プロダクト>の在り方を、近未来のライフスタイルをイメージしながらIot技術を活用したプランニングや、市場を意識したブランディングについても課題を通じてデザイン提案していきます。
このように専攻を選んで入学した先に各コースがありますから、受験生?高校生の皆さんには、ぜひ【視覚】と【工業】という専攻よりも、その先のコースで学ぶ内容を見て自分の進みたい専攻を決めていただきたいと思います。一例ですが【工業デザイン専攻】と聞くと、プロダクトデザイン、またはものづくりという印象ですが、コースには(空間演出デザインコース)もあるわけです。デザイン学部で何を学びたいか、将来どんなことしたいか、という視点でコースを選んでほしいですね。
■学びの内容やカリキュラムは変わりますか?
デザイン学部の教育はこれまでと大きく変わりません。デザイン学部の特徴に、他の美術系?デザイン系の学部、学科などに類を見ない「感性」教育と「スキル」教育の融合という柱があります。
これらをベースに専門分野を積み重ねていく学修方法を変えることはありません。これまでと異なると言えば唯一、入学前に専攻を決めるという点でしょうか。
今までは3年次から各専攻の専門演習を始めていましたが、専攻の基礎を学修し、2年次の後半から専門演習をスタートすることで、少しでも早くコースの専門分野に触れられるようにしようと考えています。そして1、2年生でしっかりデザイン?造形の基礎を修得しながら、並行して専攻の専門に触れるということは学生にとってのメリットだと考えています。というのも従来のカリキュラムでは、2年次にスキルを身につけても専門の課題が並行しておらず、3年次からスタートする専門演習で、学修したスキルを振り返ってもらうことがありました。やはり学んだスキルを並行する課題で実践できる方が良いですよね。
またこの4月から、デザイン学部に大学院デザイン研究科が誕生しました。4年間の学びの先にある大学院で、デザインによる課題解決のための実施プランをじっくり研究することが可能になったことも、デザイン学部の学びに大きなプラス要素となります。
■今回の改革の背景や狙いについてお聞かせください。
デザイン学部は学部を開設して来年で10年を迎え次のフェーズに入ります。これまでの9年間は、学部としての形を成すための「形成期」でした。そして10年目以降は理工系総合大学の東京工科大学デザイン学部として、実学による実践的なデザイン教育で社会に貢献ができる学士力の保証と、それに見あう人材輩出のために機能し始める「機能期」になる、と私は位置づけています。
この3月に第6期生を卒業させることができました。卒業生が社会に出て就職した先や活躍している様子を聞くと、デザイン学部の教育は今の社会に応えるだけの成果を得ていると確信しています。ただ、そこで立ち止まると置いて行かれます。それならばさらに先をということで、これからの情報と人と人のコミュニケーションが重視される社会に照準を合わせ、デザイン学部をより深化させていこうという流れです。
デザインは現実の問題を体系的に解決するエンジニアリングとして扱われるようになりました。例えばデザインのアイデアを考えるプロセスであった“デザイン思考”が、ビジネスでの問題解決に用いられるように、問題解決のためのアイデアが従来のアーティスティックな感覚だけで評価されるものではなく色々な事象に対して使えるようになり、社会もそういう思考を備えた人を求める時代になったのです。
今の高校生はとてもよく勉強していると感じています。知識欲があり、多くの情報によって自身の考え方を洗練させることのできる素晴らしい環境にいます。ですから大学に入って周囲の様子を見ながらやりたい対象を探すというよりは、入学前からある程度自分の学びたいことを調べて、将来を描いている人が多いのではないかと思います。そんなこれからのデザイン学部生に対応するために今回、思い切ったデザイン学部の入り口改革を行いました。
デザインの歴史は160年ほどしかたっておらず、まだまだ形を変えていくものです。逆に時代の先を見て本質に向かって形を変えていくものがデザインであり、これは変化ではなく深化と言えます。一方で精神的な深さに訴え、その価値が変わらないものがアートだと言えるかもしれません。そう考えるとデザイン学部が変わっていくことはむしろ必然と考えます。
■受験生?高校生へのメッセージをお願いします。
4年間学んだ学生を私たち教員は自信をもって社会に送り出しています。これまで多くの素晴らしい学生たちが巣立っていきました。この春、ある教員は卒業する学生に対して、「おめでとう」ではなく心の底から「ありがとう」という言葉が出てきた、と話してくれました。デザインを学ぶ環境を通じて課題や研究を繰り返しながら、お互いを高め合えたと思うからこその「ありがとう」と思います。
皆さんもぜひデザイン学部で学び、ここで「始めの一歩」を踏み出してください。
またデザイン学部の2専攻(4コース)それぞれの学修内容については、オープンキャンパスでも丁寧に説明しますので足を運んでみてください。
■デザイン学部WEB:
/gakubu/design/index.html
?次回は7月8日に配信予定です