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REC.002 chapter.1「アニメ業界を目指すなら大手のスタジオを目指すべき」

2013年10月8日開催

season 2


REC.002 chapter.1
アニメ業界を目指すなら大手のスタジオを目指すべき

―以前からお聞きしたかったのですが、デッサンの能力とは違って、絵が上手、漫画が上手な人がいますが、アニメーターには才能的にどちらが必要なのでしょうか?

夏目公一朗氏(以下夏目と略):どちらも一致する方もいますけど、漫画を描く能力の方が重要だと思います。つまり、デッサンはものを正確に描写するための基礎的な力ですが、それと絵心とはまた別ものです。ですから、あるキャラクターをどう表現するか、例えば悲しそうな表情の強弱とか、オタク心を萌えさせるような可愛い笑顔とかを描けるセンスはデッサン力とは、別のものだと思うんです。

―それでは今、アニメ業界ではどんな人材を求めているか?に特化したお話を聞かせて頂きます。まず、業界的には人材は足りているのでしょうか?

夏目:全体としては不足しています。私たちの傘下にA-1 Picturesというスタジオがありますが、かなりの頻度で人材募集をしています。なぜかというと、テレビ作品の制作本数も映画化される本数も増えています。ですので、絶えず優秀な描き手が必要ですし、描き手だけじゃなく、制作進行という全体のスケジュール管理をしていく人間も不足しています。

―映画のエンドロールを見ていると、たくさんの職種、名前が出てきますが、アニメ業界にはどんな職種があるのですか?

夏目:プロデューサーは企画を立ててスタジオや監督を決め、製作委員会のメンバーを募って資金を集め、放送枠を確保し、宣伝プランまで担当します。
制作現場のトップにいるのは監督です。監督は何どこかの職種から上がってきた人です。最初から監督だったということはありません。その監督の直下に、演出プランを決めて絵コンテを書くスタッフと、全体の作画が上手く進行するための総作画監督がいます。
それからキャラククターデザイナーがいます。キャラクターデザイナーは、作画監督を兼ねる場合が多いけれど、別の場合もあります。
キャラクターデザイナーは凄く大事で、これは先ほどのデッサン力と漫画の絵心でいうと、両方の力が必要です。 キャラクターデザイナーが起こした、キャラクター設定に基づいて、動きの元になる原画を起こしていくのが原画マンです。
そして、その原画と原画の間を繋いでいく、細かい動作の部分を描くのが動画マンという人たちです。

―動画マンは海外へ発注するケースが多いと聞きますが。

夏目:コストが安い韓国、中国、最近ではフィリピンくらいまで光ケーブルでつないで、現地で描かせている日本の会社もあります。
動画マンについては、今日の講義への学生たちの質問にも随分あったので、ここで詳しく答えたいと思います。

―お願いいたします。

夏目:まず動画マンはフリーランスの方が多く、1枚いくらの世界で、1枚描いて何百円という状況です。なぜ安いかというと、それは対抗する韓国、中国など海外の安いところに仕事を振られるからです。
つまり日本の動画マンは、海外と同じコストで戦わないと仕事がまわってこないという現実があります。
学生たちから給料は10万円しかもらえない、生活できないと聞いているという質問が多いのですが、この多くはフリーランスの動画マンのケースです。
そして私がいいたいのは、最初からその仕事を選んではいけないということなんです。

―フリーランスは量をこなさなくてはならない訳ですね。

夏目:そうすると寝る時間を惜しんで、という話になります。せっかく大学で学んだならば、そこを目指すのではなくて、やはりまずは大手のスタジオに入って様々な経験を積むる方がいいと私は思います。 大手のスタジオにも動画マンのチームはありますが、原画マンなどを育てるための教育課程でにもなります。スムーズな人間の動きなどを学ばせるためにそれをやらせる訳です。
ですから、それがあなたの生涯の仕事だよ、という規定の仕方ではないんですね。しかるべき教育を受けられるという意味でも、まずは大手のスタジオを目指すべきだと思います。

 

chapter.1 アニメ業界を目指すなら大手のスタジオを目指すべき

夏目公一朗さん

REC.002 夏目公一朗さん
株式会社アニプレックス 代表取締役
株式会社A-1Pictures 取締役
一般社団法人日本映像ソフト協会 理事
一般社団法人日本動画協会 運営委員

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