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理学療法先進国オーストラリアの大学教育にICTや留学を通して触れ、国際的センスを持った理学療法士を目指そう。

2017年8月8日掲出

医療保健学部 理学療法学科 中山孝 教授

中山孝教授

医療保健学部理学療法学科では、この春から国際的な視野を持つ理学療法リーダーを育てるための画期的な教育プログラムがスタートしています。その詳細をプログラムの代表教員である中山先生にお聞きしました。

■4月から始まった理学療法学科の戦略的教育プログラムについて教えてください。

 「国際的な教養を備えた理学療法リーダー教育プログラム」という4年かけて実施するプログラムで、オーストラリアのアデレードにある南オーストラリア大学と提携し、現地の理学療法に関する授業をWebカメラとインターネットを使って聴講したり、学内で理学療法分野の授業を英語で講義します。3年目と4年目には選抜した学生15名を南オーストラリア大学に短期留学させるという概要です。
 今年度の受講対象は1年生ですが、このプログラムではコミュニケーションに十分な英語力が求められるため、入学時に行われた英語のクラス分けテストで上位2クラスに入った学生を選抜し、その中で受講を希望した学生30名ほどが参加しています。一方では可能な限り開かれた教育プログラムにしたいという思いもあり、今回は英語の成績に関わらず受講したいという意欲のある学生も数名、参加しています。
 具体的な授業内容ですが、1年生はまだ理学療法の基礎となる解剖学や生理学すら学んでおらず、英語力も不十分な状態ですから、現在は基礎固めをしているところです。例えば、現地の大学で使われている教科書を使って、解剖学や運動学などの基礎科目を英語で教えています。早い段階から英語で学ぶことにより、例えばひじの曲げ伸ばしを専門用語ではflexion(フレクション)?extension(エクステンション)と言いますが、日本語の屈曲?伸展を同時に覚え、効率よく学修することができます。また、日本在住で英語圏出身の理学療法士の方による講義も前期6回、後期5~6回ほど、実施予定です。先日は、オーストラリア出身の理学療法士で空手家でもある方に、エイクササイズについてレクチャーしてもらいました。
 また、この10月には南オーストラリア大学の先生が来日し、本学で特別講義をする予定です。これは非常に貴重な機会ですから、本プログラムの受講生だけでなく、理学療法学科の学生は学年を問わず参加できるようにしようと思っています。この来日の際に、Webカメラとインターネットで聴講する現地大学の授業の選定や現地のICT環境などについて打ち合わせ、早ければ後期から少しずつICTを利用したWeb授業を試していき、次年度から本格的に展開していく計画です。

■なぜ提携先にオーストラリアを選ばれたのでしょうか? また、このプログラムの狙いをお聞かせください。

 ひとつはオーストラリアが理学療法の先進国だということ、もうひとつは私を含む本学科の教員数名がオーストラリアの大学で学んだ経歴があり、開学以来、人的交流も継続してきました。理学療法の領域における先進国は、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアといった英語圏です。理学療法が始まってイギリスは約120年、アメリカは80年ほど、オーストラリアは70年ほどの歴史があります。逆に日本はまだ50年程度で、残念ながらその教育レベルは先進国に追いついていません。ですから、この分野をリードしている国へ行き、現地の理学療法や大学での授業に触れることで刺激を受けて、学生が自分たちの知識や技術を高め、先進国の人たちと肩を並べたいという意欲を持てるようにしたいと思っています。
 また、今は計画段階ですが、留学先では臨床実習を体験できるようにしたいと考えています。現地ではプロスポーツは勿論、アマチュアスポーツでさえ理学療法士がチームに帯同しています。日本での臨床実習先は病院ですが、オーストラリアではスポーツクラブやチームへ実習に行くケースもあるので、そこで活躍する理学療法士の姿を学生たちに見せたいと思っています。そうした経験が学生に刺激と新しい発想を与え、きっと将来の就業にも影響を与えるだろうと考えるからです。例えば卒業後、海外の大学で修士?博士号を取得することや現地で働くという選択肢が出てくるかもしれません。それは日本の理学療法のレベルの底上げにもつながるはずです。
 また、理学療法の先進国は英語圏ですから、おのずと世界の理学療法に関する情報も英語で発信されています。つまり最新の論文や情報にアクセスするには英語力が必須なのです。だからこそこのプログラムでは、英語で教わり、英語で学び、英語力を高めることに力を入れているのです。

中山孝教授

■専門分野を英語で教えるうえで、何か工夫されていることはありますか?

 例えば、外国人の理学療法士の方による講義で、難しい英語表現や学生が理解できていないと感じられる部分については、その都度、私たち日本人の教員が解釈を加え、日本語で伝えています。あまりにも内容を理解できないと、学生が授業への興味を失ったり、挫折感を抱くかもしれませんからね。モチベーションを維持できるよう、必要なところは日本語訳でサポートするようにしています。
 それから本学の教養学環で英語を専門に教えている先生に、本プログラムの英語教育を担当してもらい、英語の基礎力アップがはかれるようにもしています。私たちは学生に最初から英語を完璧に理解させようとは考えていませんし、そもそも理学療法という専門分野を英語で学ぶことは、学生にとって非常にハードルが高いものです。このように留学するまでに、必要な力がつけられるよう時間をかけて丁寧にフォローしていく予定です。

■最後に今後の展望をお聞かせください。

 このプラグラムを経験した学生や本学で学んだ学生が、それを糧に自分の専門領域を見定め、生涯学習に基づいて理学療法を追究していける人になってほしいです。また、語学力を活かし、学術分野、研究分野、臨床分野のどの領域でも構わないので、積極的に発信し、国内外で活躍する人になってほしいですね。そういうグローバルに活躍する理学療法士が、本学からたくさん誕生することを願っています。日本における理学療法はもとよりリハビリテーションの世界を変える新しい視点を持った人を育てることが、私たち教員の夢ですから。

■医療保健学部 理学療法学科WEB:
/gakubu/medical/pt/index.html

?次回は9月8日に配信予定です。