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2018年応用生物学部長メッセージ

2018年1月12日掲出

「研究力、応用生物学部」梶原 一人

応用生物学部 梶原一人

 受験生の皆さんこんにちは
応用生物学部長の梶原です。

 受験勉強も追い込みを迎えていることと思います。無理して体調を崩さぬよう十分気を付けて下さい。本学に合格されることを願っています。

 東京工科大学は、時代の最先端を常にキャッチして進化を遂げてきました。
特に応用生物学部は生命科学の進歩と共に、農学部とは異なった方向から研究し、その成果を社会に還元することを目標にしています。

 応用生物学部の2017年度11月現在プレスリリースされた研究は7報あります。その中で、2報について詳しくお話します。一つ目は「がん細胞死を誘導する人工配列の核酸の創製に成功 -核酸医薬の開発に期待-」で、二つ目は「化粧品原料(プラセンタエキス)の新たな活性成分を発見 -メカニズム解明や機能性化粧品の創製に期待-」についてです。その他の5報については大学ホームページのプレスリリースをご覧ください。


人工核酸のRNA干渉ライブラリ

 遺伝子の発現を特異的に抑制するRNA(リボ核酸)干渉法は、遺伝子の機能を調べる方法として広く利用されており、近年ではその高い有効性と特異性を活かして医薬品への利用が検討されています。一方で細胞は、個体が恒常性を保つための重要な仕組みとして、自殺(細胞死)するための内在的な機構を持っています。例えば、DNA傷害のような過剰なストレスを受けた場合、自らを消化して存在を抹消します。この内在的な機構には、細胞内のミトコンドリアが関わっており、その膜電位の消失が細胞死を誘導すると考えられています。本研究では、様々なDNA配列の人工核酸を、ヒト結腸がんの細胞株HCT116に作用させ、ミトコンドリア膜電位の消失を誘導する人工核酸を探索しました。その結果、効果を示す核酸を約15万種類の中から1つ発見しました。この核酸はヒトゲノム配列と比較して完全一致しない塩基配列でしたが、その標的遺伝子の特定に成功し、未解明の膜タンパク質「TMEM117」であることを突き止めました。TMEM117の遺伝子発現抑制は、細胞内の活性酸素種レベルを上げ、ミトコンドリア経路の細胞死を誘導し、がん細胞株の増殖性を著しく抑制しました。また、TMEM117の機能として、がん細胞(特に小胞体に過剰なストレスを受けた時)が細胞死する反応経路に関わることが示さました。新たに発見したTMEM117を標的としたRNA干渉は、小胞体ストレスによるミトコンドリア膜電位の消失を伴うがん細胞の細胞死を誘導するものです。今後、TMEM117の機能解明が進むことで、がん細胞死を誘導する核酸医薬品の開発が期待されます。

図1 開発した人工配列の核酸の高効率スクリーニングシステム。RNA干渉用の核酸ライブラリーを導入したがん細胞は、蛍光試薬で細胞標識しました。その効果の有無は高効率、がん細胞の細胞増殖性が著しく抑制されます。

 プラセンタ(胎盤)エキスは、化粧品やサプリメント、医薬品などに広く使われていますが、その活性発揮のメカニズムについては不明な点が多く残されていました。化粧品原料には、主にブタから調製したものが使われていますが、製造工程でタンパク質の酵素分解や加熱という過酷な処理を施されています。そこで本研究では、プラセンタエキスの有効性を明らかにするため、シグナル分子の一群である、FGF(線維芽細胞増殖因子)ファミリーの活性という観点から、検証を行いました。本研究では、シグナル分子群であるFGFファミリーに対する主要な受容体の活性化を解析できる細胞を複数種類作成。これらに対してブタプラセンタエキス(PPE)を加えると、増殖反応を通じて5種類のFGF受容体について、活性化を示すことを発見しました。これらのFGF受容体が特異的に活性化されたことは、阻害物質によりプラセンタエキスの活性が阻害されたことで確認されました。また、プラセンタエキスには「グリコサミノグリカン」という糖鎖が含まれており、化粧品原料の製造工程においてFGF活性を保護していることも示唆されました。本研究により、プラセンタエキスにはFGF活性を発揮する物質が含まれており、さらにこの活性物質は、高分子量と低分子量の両方の分子量範囲に含まれていることが明らかになりました。化粧品原料としてのプラセンタエキスの有効性も、その一部はFGF活性によるものであることが本研究を通じて示唆されました。プラセンタエキスの新規活性成分が明らかになったことで、新たな機能性化粧品の創成が期待されます。

図2:FGF受容体がプラセンタエキスで活性化される様子(モデル図)


 このように応用生物学部では生命科学、環境、医薬品、食品、化粧品の各分野で活発に研究が進められています。また、研究施設としてバイオナノテクセンターに代表される他を圧倒する教育?研究環境と産学連携による優れた研究成果が社会から評価され、年々受験者数と倍率も向上しており、昨年度の卒業生は大学院への進学はもちろん、大手化粧品、食品、化学関連会社等を中心に95%を超える高い就職実績を残しています。また、それぞれの分野で、生活に密着したバイオテクノロジーの応用と研究成果の社会還元、社会で活躍できる人材育成を目指してきました。

 受験生の皆さん、新たな世界を切り開くバイオテクノロジーを駆使し、社会に役立ち、喜ばれる研究成果を、私達と一緒に創り出していきましょう。
皆さんの入学をお待ちしています。

■応用生物学部WEB:
/gakubu/bionics/index.html