大学院バイオ?情報メディア研究科メディアサイエンス専攻茂木龍太さんの博士論文が情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会より推薦され公開される
2017年度末に博士(メディアサイエンス)を取得した茂木龍太氏の博士論文が情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会より推薦され、研究会推薦博士論文として公開されました。
http://www.ipsj.or.jp/magazine/hakase/2017/DCC01.html
博士論文の概要は次の通りです。
キャラクター分析に基づく形式知化とデザイン原案制作支援に関する研究
[背景]制作者の感性や経験による映像コンテンツの制作
[問題]制作者の暗黙的知識で制作されるためコミュニケーションギャップが発生
[貢献]暗黙的知識を形式知化する手法をデザイン原案制作に活用
メディアコンテンツにおける登場人物の作品に与える影響力は大きく、たとえば映画内の登場人物を演じた俳優の人気に伴う経済効果や、アニメに登場して人気を博したキャラクターに関連して発生する版権ビジネスなどが、特に注目を集めている。さらに、自治体マスコットキャラクターに代表されるように、キャラクターは映画?アニメ?漫画?小説?ゲームとあらゆるところで活用され、年々その数を増やしている。映像制作工程は技術の発展とともにディジタル化が各工程で進んでいる。しかし、映像制作工程の企画やデザイン、シナリオを生み出す初期段階であるプレプロダクションはいまだディジタル化が遅れているため、キャラクターデザインにおけるアイディアをヴィジュアル化する工程も従来からほとんど変わっていない。したがって、プロデューサーとデザイナーの間のコミュニケーションギャップによるリテイクの増加などが問題となっている。
そこで本研究では、キャラクターデザインの支援のために、既存キャラクターを分析することでデザイナーの「暗黙知」を「形式知化」し、誰もがデザインに活用できる制作手法の開発を目的とした。この目的を達成するためにキャラクターデザイン工程の初期段階に着目し、キャラクターの設定情報の分析と分類、制作者がキャラクターメイキングに必要な情報を蓄積するためのライブラリ「キャラクタースクラップブック」を用いたデザイン原案制作支援、そして、3次元モデルを用いたキャラクターデザイン原案制作支援の3つの研究を行った。
キャラクターの設定情報の分析と分類では、キャラクターメイキングにおけるキャラクター設定情報に着目した。また、企画段階からデザイン決定までのプロセスにおいて必要になる設定情報を調査し、情報の整理と制作支援のためのテンプレートを開発した。そして、テンプレートを用いた制作手法を提案した。キャラクタースクラップブックを用いたデザイン原案制作支援では、キャラクターメイキングにおける重要な要素であるキャラクターの体型と表情、配色の3つの項目に焦点を当てた。そして、従来制作者の暗黙的知識だったこれらのノウハウや技術を調査?分析に基づいて活用できる形式にした。これをもとにキャラクターデザイン原案制作手法を開発した。3次元モデルを用いたキャラクターデザイン原案制作支援は、ロボットキャラクターやデフォルキャラクターのデザインを分析し、その結果から各デザインの造形を活用できる形式にした。そして、これらのキャラクターの外形を設計するための3DCGモデルを作成し、デザイン原案制作のためのツールを開発した。これによって、誰もが容易にキャラクターデザイン原案の作成が可能になった。
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■2012年度研究会推薦博士論文
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http://www.ipsj.or.jp/magazine/hakase/2012/CG03.html
■メディアサイエンス専攻で博士号を取得した渡邉賢悟氏の博士論文が情報処理学会の研究会推薦論文に選出 2013年9月 3日
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■博士論文公開発表会:キャラクター分析に基づく形式知化とデザイン原案制作支援に関する研究 2018年1月11日
http://blog.media.teu.ac.jp/2018/01/post-95d4.html
■東京工科大学大学院 メディアサイエンス専攻
/grad/ms/index.html