学長コラム第10回「東京工科大学のコーオプ教育①――その導入を振り返って」
2022年1月28日掲出
こんにちは、学長の大山です。今回は本学で実施している「コーオプ教育」について取り上げましょう。
「コーオプ教育」とは、学内の授業と学外での就業体験型学修を組み合わせた教育プログラムのことです。学生は一定期間、企業で働くことで、就業経験と報酬、大学の単位を手にすると同時に、社会人基礎力や実践力を身に付けることができます。
この「コーオプ教育」を本学では2015年の工学部設置を機に導入し、工学部の2年次後期または3年次前期の期間で約2か月間、4つのグループに分けた学生たちが順次、企業でのコーオプ実習に行っています。また、2021年度からは夏休みを活用して、メディア学部、コンピュータサイエンス学部、応用生物学部でも「コーオプ教育」プログラムを新たに始めました。
本学の「コーオプ教育」には、私自身、立ち上げ段階から関わっていましたが、個人的にも思い入れがありました。私は若い頃、工学系分野でありながら実社会の現場と隔たりのある大学教育について疑問を持ったことがありました。大学の4年間を単に学内での勉強だけに使うのではなく、例えば2年ほど教養や専門基礎を学んだあとは、1年くらい社会で働き、そこでさらなる専門知識の必要性や問題点を実感して、改めて大学に戻って学ぶということができないだろうかと夢想していました。というのも、誰しも大学で学んでいるうちに、何のために勉強をしているのか、迷うことがあるでしょう。特にモノづくりである工学系の場合、やはり実際にこういう知識が必要だと感じて、改めて幅広く勉強し直すことが大事だと思います。大学を卒業して社会で本格的に働き始めてからではなく、大学で勉強しているうちに刺激を受けて、勉強し直せると理想的だと考えていました。
「コーオプ教育」は、北米や欧州の大学で盛んに行われているものです。そこで2012年、私は前学長や現理事長と共に、アメリカとカナダにある大学の視察に行きました。その時は、「コーオプ教育」を実施している3つの大学と、教育を支援するセンターを設置している3つの大学を視察するのが目的でした。ちなみに、本学では現在、「コーオプ教育」導入と「先進教育支援センター」設置の両方を実現しています。
「コーオプ教育」の視察先として訪れた3つの大学は、とても印象的でした。アメリカやカナダは日本と労働状況が異なり、終身雇用ではありませんから、給料を上げるには、キャリアップして違う職種に移るなどする必要があります。そういうキャリアを自分でつくるということに対して、みんな非常に熱心です。大学4年を卒業してからキャリアがスタートするのではなく、在学中に色々な仕事を経験して、それらひとつひとつがキャリアとなり、卒業後のスタートに繋がるという仕組みがあります。視察した大学の学生たちの多くは、「コーオプ教育」を目的に入学しているそうです。また、視察した大学の「コーオプ教育」は、1回4カ月タームのコーオプ実習(有給の就業)を卒業までに3回から6回行うというものでした。それだけの期間と回数、キャンパスを離れて企業で働くのですから、場合によっては4年ではなく5年かけて卒業するコースもありました。
「コーオプ教育」を支援するシステムも非常によくできていて、事前に就業のための教育カリキュラムやトレーニングが用意され、コーオプ実習に行けば大学の修得単位にもなり、戻って来てからもそれをフォローする授業がありました。もちろん、そういう支援を行うためのセンターが学内にあり、100人ほどのスタッフが学生たちをサポートしています。そういう組織的な体制を目の当たりにして衝撃を受けましたし、本学での「コーオプ教育」導入にも非常に参考になりました。また、私が「こうだったらいいのに」と思っていたことを実現している大学があるという意味でも、非常に印象深かったです。 次回は、本学の「コーオプ教育」について、お話ししましょう。 ?
「コーオプ教育」とは、学内の授業と学外での就業体験型学修を組み合わせた教育プログラムのことです。学生は一定期間、企業で働くことで、就業経験と報酬、大学の単位を手にすると同時に、社会人基礎力や実践力を身に付けることができます。
この「コーオプ教育」を本学では2015年の工学部設置を機に導入し、工学部の2年次後期または3年次前期の期間で約2か月間、4つのグループに分けた学生たちが順次、企業でのコーオプ実習に行っています。また、2021年度からは夏休みを活用して、メディア学部、コンピュータサイエンス学部、応用生物学部でも「コーオプ教育」プログラムを新たに始めました。
本学の「コーオプ教育」には、私自身、立ち上げ段階から関わっていましたが、個人的にも思い入れがありました。私は若い頃、工学系分野でありながら実社会の現場と隔たりのある大学教育について疑問を持ったことがありました。大学の4年間を単に学内での勉強だけに使うのではなく、例えば2年ほど教養や専門基礎を学んだあとは、1年くらい社会で働き、そこでさらなる専門知識の必要性や問題点を実感して、改めて大学に戻って学ぶということができないだろうかと夢想していました。というのも、誰しも大学で学んでいるうちに、何のために勉強をしているのか、迷うことがあるでしょう。特にモノづくりである工学系の場合、やはり実際にこういう知識が必要だと感じて、改めて幅広く勉強し直すことが大事だと思います。大学を卒業して社会で本格的に働き始めてからではなく、大学で勉強しているうちに刺激を受けて、勉強し直せると理想的だと考えていました。
「コーオプ教育」は、北米や欧州の大学で盛んに行われているものです。そこで2012年、私は前学長や現理事長と共に、アメリカとカナダにある大学の視察に行きました。その時は、「コーオプ教育」を実施している3つの大学と、教育を支援するセンターを設置している3つの大学を視察するのが目的でした。ちなみに、本学では現在、「コーオプ教育」導入と「先進教育支援センター」設置の両方を実現しています。
「コーオプ教育」の視察先として訪れた3つの大学は、とても印象的でした。アメリカやカナダは日本と労働状況が異なり、終身雇用ではありませんから、給料を上げるには、キャリアップして違う職種に移るなどする必要があります。そういうキャリアを自分でつくるということに対して、みんな非常に熱心です。大学4年を卒業してからキャリアがスタートするのではなく、在学中に色々な仕事を経験して、それらひとつひとつがキャリアとなり、卒業後のスタートに繋がるという仕組みがあります。視察した大学の学生たちの多くは、「コーオプ教育」を目的に入学しているそうです。また、視察した大学の「コーオプ教育」は、1回4カ月タームのコーオプ実習(有給の就業)を卒業までに3回から6回行うというものでした。それだけの期間と回数、キャンパスを離れて企業で働くのですから、場合によっては4年ではなく5年かけて卒業するコースもありました。
「コーオプ教育」を支援するシステムも非常によくできていて、事前に就業のための教育カリキュラムやトレーニングが用意され、コーオプ実習に行けば大学の修得単位にもなり、戻って来てからもそれをフォローする授業がありました。もちろん、そういう支援を行うためのセンターが学内にあり、100人ほどのスタッフが学生たちをサポートしています。そういう組織的な体制を目の当たりにして衝撃を受けましたし、本学での「コーオプ教育」導入にも非常に参考になりました。また、私が「こうだったらいいのに」と思っていたことを実現している大学があるという意味でも、非常に印象深かったです。 次回は、本学の「コーオプ教育」について、お話ししましょう。 ?
■コーオプ実習WEB:
/employment/coop.html